SHIMADANOMEシマダノメ
シマダノメ Season3
第1回 深掘りインタビュー
村松航太 選手
『シマダノメ 深掘りインタビュー』もSeason3に突入。 その第1回目は恒例でもあるキャプテンへのインタビュー。昨季はルーキーながらセンターバックとして定位置を確保してチームの躍進に大きく貢献。その働きもあって今季はプロ2年目ながら主将に抜擢された村松航太選手の登場です。主将としての覚悟、昨季とは異なる『景色と視野』を深掘りしてきました。(取材日/3月12日)。
―プロ2年目で主将を引き受けるには、ある意味、勇気が必要だったのでは?
去年の終盤にゲームキャプテンを任されることがあって、そうなると練習の時から意欲というか、気持ちに変化があったんですよね。だから、キャプテンとか副キャプテンとか肩書がなくてもメンバーが大きく入れ替わった今年は自分がチームを引っ張れたらなぁ、引っ張らなきゃなぁ、という気持ちではいたんです。
―去年からある程度の心の準備はできていた、と。いざ、引き受けた時に、何か心に決めたことがありましたか?
練習で僕がダラダラしていたら全体がそういう雰囲気になると思ったので、まずはキビキビ動こうと思いました。例えば、ウォーミングアップが終わって一つの目の練習メニューに移る時の場所移動は素早く、走って動くとか。遅い人に対しては「俺はもういるよ、早くしようよ」というのを声掛けとは別に行動で示そうと。ちょっとしたことですが、そこでダラつくのが僕は嫌ですし、去年はリュウ君(川上竜選手→相模原SC)がやってくれていて、それを見ていたので引き継がなきゃいけないなと思いました。
―キャプテンになって見える景色は去年とは違うのでは? 例えば、去年感じた敗戦時の思いと、今年のそれは同じですか?
今年の方がダメージは大きいように感じています。
―責任感が強くなった分、精神的ダメージが大きくなるのでしょうか?
自分では責任ということに関してあまり意識しすぎないように、とは思っているのですが、知らないところでどうしても意識してしまうんだろうな、と。でもそれはしょうがないというか、シンジさんが責任を感じている以上に、ピッチでプレーしている僕ら選手にも責任があるわけだし、中でもキャプテンはそれを一番感じないといけない立場だと思うので。次の試合に向けた準備にマイナスに出ることがあってはいけないけれど、でも敗戦した理由や課題にしっかり向き合うことは絶対に必要だなと、考えていますね。
―でも考えすぎて、自身のパフォーマンスにマイナスの影響が出てもよくない。
そうですね、そこは慣れていくんだろう、と予想していますが、果たしてどうなっていくのか……。自分の気持ちの整え方は、やりながら学んでいくしかないと思っています。
―先ほど、小林監督が責任を負っている、という話が出ましたが、選手たちはそこを感じ取っているということですか?
良いところはもちろんあるんですけど、勝てていない状況だと悪いところに目が行くでしょ? それでも小林監督は「うまく行っているところもあるんだよ」と言いながら、うまく行っている部分を増やしていくことに僕らの目を向けさせるような前向きな声掛けをしてくれています。シンジさんがそういう言い方をする本当の理由は分かりませんが、僕ら選手は「おまえたちは、もっと自由にやっていいんだよ、勝てないことをあまり気にしすぎなくていいんだよ」と言ってくれているんだと思っています。
―今年は選手の大幅な入れ替えがありました。やはりいろいろなところで影響が出ますよね?
影響が出ていないとは言えませんし、その影響を感じない、と言えばウソになります。だけど、シンジさんをはじめとしたコーチングスタッフも、そして僕ら選手も「去年と同じチームをつくろう」とは思っていません。違った良さをチームの力にしていければいい、そうしたいと考えていますからね。ただ、それが今はまだ100パーセントのところまではいっていない。試合を重ねながら、どんどん近づけていくしかないと思います。
―100パーセントに向かっていくために、村松選手がやるべきこと、できることは何でしょうか?
去年の勝てていた時期は、足が止まらないとか、それがチームの武器でもあったのですが、それを表現できたのも実は一昨年のJ3を制したメンバーがベースだったからできたことだと思うんです。つまり2年間で積み上げた成果だった。そう考えると、今年は選手の入れ替わりの割合がかなり高いにもかかわらず準備期間も限られていたし、そうそううまく行くとは思っていませんでした。だからこそ新しく加わった選手との話し合いとかコミュニケーションは昨季以上に意識はしてやっていたんです。開幕までに新しく入って来た選手のプレースタイルはつかもうと思っていて、それはたぶん、僕だけではなくほかの選手たちも開幕までに特徴はつかむことはできたはずです。
―でも、思うようにうまくはいっていない、と?
練習と練習試合は違うし、練習試合と公式戦はもちろん違うので、練習や練習試合でうまくできたことが公式戦ではうまくできない、ということを新しい選手は特に感じているはすです。それはさっきも言いましたが、やりながらつかんでいく、しかないのかなと。そのために去年からチームにいる僕らがもっと分かりやすく伝えなきゃいけないな、とか、うまく巻き込んでやっていかなきゃいけないな、と試合を終えるたびに思っています。
―去年の過密日程を経験しているぶん、今年は試合間隔が長いと感じるのでは?
長く感じます。新加入選手が多いというチーム状況を考えると、連係アップや戦術を刷り込むための時間がある、という意味では、良いことだと思います。でも、若い選手が多く、練習よりも試合をしたい選手の方が多いので、そこがどう出るか。そこのバランスは監督、コーチングスタッフたちがうまく調整してくれているように感じているんですけどね。
―試合間隔が短かった昨季はありませんでしたが、今年は間隔に余裕があるから、一昨年実施していたオフ明けから2日間の午前午後の2部練習が復活しました。
僕は去年から入ったので2部練習は今年が初体験です。やっぱりきついですね。だからタクさん(永田拓也選手)に「僕が30歳を過ぎて2部練習ができるとは思えません、タクさんすごいっすね」と言ったら、「いや、30歳を過ぎたオレも2部練習初体験だよ」と言っていました(笑)。でも、一昨年、2部練習をして鍛えられてきた選手たちを見ると、フィジカルはもちろんですけどメンタル的にもタフだなと思うし、今年、2部練初体験の僕らもきっと成長できるんだろうな、と期待しています。
―「去年とは同じチームにしようとは思っていない」との発言がありましたが、小林監督は開幕前に「常に攻撃」という言葉を使って、超攻撃的サッカーへの進化を目指すと話していました。
昨季も「守備的にはなるな」とシンジさんは話していました。確かにそういう方向を目指すような選手構成ではありませんでしたし、そういう考えで戦ったからこそ、ああいう成績が残せたんだと選手も分かっています。だから、そのベースは変えないけれども、さらにアグレッシブに戦うんだという決意と覚悟を「常に攻撃」というワードにして口にしたんだろうな、と理解しています。
―「よりアグレッシブに」と言いますが、どこをどういうふうにアグレッシブに変えようとしているのでしょうか?
若い選手が多い、ということは、動けるし、生き生きしていることだと僕は思います。なので、ボールが自分のところに出そうなときに頑張って走るのは当たり前で、例えば、絶対に自分にはボールは出てこない状況でも、自分が走ることでチームメイトの誰かが良い態勢でボールを受けることができる、チームにとってプラスになるなと考えたら、迷いなくスプリントする。そういう意識とか考え方そのものが僕はアグレッシブだと思うし、そういう意識がチームとして表現するアグレッシブな攻守の素になるんだと思います。
―去年もみんな相当走っていたと思いますが。
夏でもハイプレスをかけられる走力が去年の僕らの好調の要因の一つだと感じていましたが、それでも僕も含めて、若いダイゴ(髙橋大悟選手)もタケ(針谷岳晃選手)も、もっとできる、もっと走れるはずだと、思っているはずです。コーチ陣も僕らにはまだ伸びしろがあると思ってくれているから、「もっとアグレッシブに戦おう」と言うんじゃないですかね。
―攻撃的なスタイルをチームとして追及していく中で、センターバックを務める村松選手はその実現のために何をすべきなのでしょうか?
一番はコーチングですね。僕らよりも前に位置する選手はがむしゃらにボールを取りに行きますが、そこに僕らが有効な情報を提供してあげれば、前線の選手の相手ボールに向かう強度や質が上がるはず。そうすることで相手が本当に嫌がるプレッシングとなる。例えば、僕が「二、三歩右に行ってから行け!」という声を掛けて前の選手を動かすことで、相手ボールホルダーの視野がずいぶんと狭まる。そうすることで効果的なプレッシングになる。そういうプレッシングができればボールを奪える確率が上がる。そうすることでショートカウンターの回数も増えるし、チャンスの質というものも上がっていく。そういう角度から攻撃的スタイルをつくりだすための作業にかかわりたいな、と考えています。
―良いコーチングをするためには、村松選手にも良い判断力が求められる?
そうですね、瞬時の判断、しかも的確な判断ができるかどうかはコーチングの質に大きくかかわってくるはずなので、僕自身の判断スピードと質の向上は必要です。今年はそこのレベルアップを個人的な目標の一つとしています。前の選手の判断の助けとなるサポートをする、ということ。ここは行くべきだと分かっていても、迷いがあればボールに寄せるスピードにブレーキがかかるもの。だから前の選手が迷いなく行けるコーチングとサポート、その質を上げたいんです。
―去年感じた悔しさ、または今季開幕2連敗の悔しさは今後の戦いに生きてきますか?
生きるかどうかを待つんじゃなくて、生かさなきゃいけない、そのためにどういう行動を起こすかを自分で、あるいは自分たちで考えなきゃ、生きてこないと思います。去年も開幕戦と再開戦で2連敗しましたが、その間には長い中断期間がありました。だからダメージとしては今年の方が大きい。でも今年の開幕の新潟戦よりも第2節の水戸戦の方が内容は良かったし、水戸戦よりも次の金沢戦の方が良かった、というふうにしないといけない。今年はそうやって、前の試合よりも必ず向上した内容を次の試合で見せる、というところを意識したい。それがないと、僕らの目標は達成できないと思います。
―昨年、小林監督は首位に立っても外部的には「J1昇格」という言葉を口にしませんでした。しかし今年は開幕前に明確な目標として掲げました。そのことを選手はどう受け止めているのでしょうか。
去年も調子が良かった時期に選手の中では「行けるなら、行こう。このチームで行こう」という雰囲気になっていました。
―「このチーム」で?
今だから言えますが、シーズン途中で移籍に関する情報がロッカールームで飛んでいる状況があって、それでもJ1昇格が達成できれば、移籍話がある選手も「J1を戦うならこのチームでやりたい。でもそうならなかったら別のチームでもいいからJ1にチャレンジしてみたいんだ」という声があって、その気持ちはほかの選手も理解できたし、もし昇格できたらそういう選手も残るんだから、「じゃあ、今年昇格してやろうぜ!」という雰囲気になったんです。だから、今年特別に意識するかと言ったらそうでもないんですけど……、でも、去年の最初は「果たしてJ2でちゃんと戦えるのか」という不安を持ちながらスタートして、その後にだんだん自信を手にして途中で「もしかしたら昇格を狙えるのかも」ということになった。でも今年は最初からそこを目標にしてシーズンに入ったので、最初の時点での気持ちの違いは確かにあるんですけどね。
たくさんいますね。でも、タイガ君(前川大河選手)は面白いかな。シャイなように見えて、結構なおしゃべり君です。ちょっと変わってる(笑)。だからなのか、ロッカールームが隣だからなのかは分かりませんが、ガッキー(新垣貴之選手)と仲が良い。クラブハウスから練習グラウンドの行き帰りも一緒のことが多いですよ。タイガ君、去年の後半戦は山形でプレーしていたでしょ、あの時は嫌な選手、つまり良い選手だなと思ったし、キャンプで一緒にやっても、ドリブルはできるし、シュートもうまい、そして「パスも出せるんか~い!」って。性格もそうだけど、プレーヤーとしても面白いなぁ、って思っています。
―また、キャプテンの話に戻りますが、過去にキャプテンを務めた経験は?
小、中、高、それから大の最後のほうでも。
―もう『キャプテンのプロ』ですね。どおりで、開幕前のたくさんの取材の受け答えも堂々としていたわけですね。
そうでもないです、テレビは慣れません。
―今季は、岡村和哉選手、髙橋大悟選手の副キャプテンが村松主将の脇を固めてくれるんですね。
僕は去年のダイゴとシンジさんの絡みを見ていて、シンジさんはダイゴを今年のキャプテン候補にしているんだろうな、と思っていたんです。10番でチームの主軸として働いているし、チームのことを誰よりも考えている人間だから。ダイゴがキャプテンで僕が厳しいことを言う副キャプテンというパターンもありだなと去年の終わりにダイゴと話していました。でも、シンジさんからその手の話が出るとダイゴが「ムリムリムリ、コウタ君でしょ!」と逃げる。それで、今年になってキャンプに入る前にキャプテンが誰になるか、という話になったときにダイゴが「たぶん、コウタ君だよ」って。そして「コウタ君がキャプテンやるんだったら、オレ、副キャプテンやろっかなぁ」とも。
―なるほど、そういうことがあったんですね。
それで結果、キャンプ中にシンジさんに呼ばれて「キャプテンをやってほしい」と言われて「はい、準備はできています」と引き受けました。その後にシンジさんから副キャプテンは誰がいいと思うかと聞かれて「僕はダイゴを入れたいです」と答えたら「そうか。あと一人は?」で、僕が「オカさんにやってもらいたいです」って答えたら、「やっぱり、そうだよな!」と。シンジさんと僕の意見が合致していました。それでシンジさんが「2人にどう伝えようか?オレから伝えてもいいよ」と言われましたが「自分で伝えます」と。そのあとすぐにオカさんとダイゴをホテルの廊下に呼び出して「僕がキャプテンをやります。2人に副キャプテンをやってほしいんですけど」と言ったらオカさんはすかさず「そりゃ、やるよ!支えるよ!」と。ダイゴはと言うと「えっ、マジ、オレっすか?ほんと、オレでいいんすか、本当に?」って何度も聞き返してくるんですよ(笑)。
―そこから説得して。
オカさんが「チームのことを本気で考えているダイゴだからやるべきなんだよ」と援護射撃してくれたらダイゴが「そんなに2人が言うのならと、5分後に引き受けてくれたんです(笑)。それで3人で「よし、頑張ろうぜ!」となったわけです。
―良いトリオになりそうです。期待しています。
はい、力を合わせて頑張ります!
文・島田徹 写真・筒井剛史
今回のイチオシ商品
黒豚生餃子
(冷凍/28g×15個入)
定価430円(税込)
1個28gのビックサイズに、九州産黒豚の肉汁がたっぷり!お肉を生のまま急速冷凍しているのでジューシーさが違います。
村松航太選手の一口感想
「肉汁たっぷりでおいしいです!皮がモチモチで中はジューシー!!
シマダノメ Season3の第2回目は4月末の予定です。誰が登場するのか。お楽しみに!
シマダノメ Archive
【深掘りインタビュー Season6】
【深掘りインタビュー Season5】
【深掘りインタビュー Season4】
【浅掘りインタビュー】
- 後藤大輝 選手 Vol.2
- 中山雄希 選手 Vol.3
- 佐藤亮 選手 Vol.4
- 池髙暢希 選手 Vol.5
- 中塩大貴 選手 Vol.6
- 針谷岳晃 選手(前編) Vol.7
- 針谷岳晃 選手(後編) Vol.8
【深掘りインタビュー Season3】
- 村松航太 選手 Vol.1
- 針谷岳晃 選手 Vol.2
- 椿直起 選手 Vol.3
- 田中悠也 選手 Vol.4
- 永田拓也 選手 Vol.5
- 井澤春輝 選手 Vol.6
- 小林伸二 監督兼スポーツダイレクター Vol.7(前編)
- 小林伸二 監督兼スポーツダイレクター Vol.7(後編)
【ピンポイントーク】
【深掘りインタビュー Season2】
- 川上竜 選手 Vol.1
- 佐藤亮 選手 Vol.2
- 岡村和哉 選手 Vol.3
- 福森健太 選手 Vol.4
- 椿直起 選手 Vol.5
- 村松航太 選手 Vol.6
- 鈴木国友 選手 Vol.7
- 生駒仁 選手 Vol.8
- 髙橋大悟 選手 Vol.9
- 小林伸二 監督(前編) Vol.10
- 小林伸二 監督(後編) Vol.10
【深掘りインタビュー】
- 小林伸二 監督兼スポーツダイレクター Vol.1
- 小林伸二 監督兼スポーツダイレクター Vol.2
- 内藤洋平 選手 Vol.3
- ディサロ燦シルヴァーノ 選手 Vol.4
- 新垣貴之 選手 Vol.5
- 町野修斗 選手 Vol.6
- 國分伸太郎 選手 Vol.7
- 川上竜 選手 Vol.8
- 野口航 選手 Vol.9
- 藤原奏哉 選手 Vol.10
- 寺岡真弘 選手 Vol.11
- 高橋拓也 選手 Vol.12
- 髙橋大悟 選手 Vol.13
- 北川柊斗 選手 Vol.14
- 池元友樹 選手 Vol.15
- 河野貴志 選手 Vol.16
- 加藤弘堅 選手 Vol.17
- 小林伸二 監督 Vol.18
- 小林伸二 監督 Vol.19
【見たよ!聞いたよ!練習場で! Season2】
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