SHINMOJI KININARINYO新門司キニナリーニョ
新門司キニナリーニョ 第3回
東廉太 選手

2月22日の第2節・AC長野パルセイロ戦でセンターバックとして先発フル出場して無失点勝利に貢献、ギラヴァンツ北九州でのデビューを飾った東 廉太選手。始動後すぐに広報スタッフから聞いた抜群のコミュニケーション力とフィジカルトレーニングで目に留まった走力についてキニナリーニョしてきました。
新加入選手の中にはチームに溶け込むのに時間がかかる選手もいますが、東選手の場合はすぐにチームメイトと仲良くなったようです。「誰でも仲良くなれる」と言う東選手に、一緒にいることが多い選手の名前を挙げてもらうと…。
「山脇樺織、吉長真優、坂本稀吏也、樺山諒乃介、岡野凜平、高昇辰、それから…」
そういう質問をされた場合には2、3人の名前が挙がるのが普通ですが、東選手の場合はチーム全員の名前を口にしそうな勢いだったので、途中で「分かりました」と答えをさえぎりました。

「嫌いな人がいない」との言葉に、東選手が『他者に対して予断や偏見を持たず彼らの意見に耳を傾けると同時に自分の意見も他者に伝える』つまり『オープンマインド』の持ち主であることを感じます。
自己追及だけではなく他者からの客観的意見も聞き入れながら自分の成長に生かせるオープンマインドはアスリートにとって非常に大事な資質であるように思います。
特に他者とのかかわりが絶対的に存在するチームスポーツにおいては、その一員としてチームが目指すモノを表現し、それを皆が望む結果につなげるためにオープンマインドは、技術やフィジカルと同様の武器となる。そのことは東選手も認識している様子でした。
東選手に今の自身の課題を聞いた時に「僕のウイークポイントはビルドアップです」と答えました。「課題」を「ウイークポイント(弱点)」と言い換えるあたりに、自分に対しても正直な、オープンマインドの持ち主だと感じました。
「ビルドアップに関しては増本浩平監督から個別にアドバイスをいただき、またほかのコーチングスタッフと映像を一緒に確認しながら改善ポイントを明確にしてもらうことで徐々に手ごたえを感じている状況です」

そういう他者からの声にしっかりと耳を傾け、練習でそこを意識することで、自分の中でさらなる『気づき』が生まれるとも言います。
「状況に応じて的確なポジションを取ること、どこにボールを止めて次のキックの準備をするのか、パスを受ける前にもっと周囲の状況を見るとか、そういった部分を意識し、その質を上げることで、ビルドアップ時に余裕が生まれ、それによって判断とパスの精度が変わることを今、実感しています」
意識すれば必ず備えられるわけではないオープンマインドを東選手はどのようにして手に入れたのでしょうか。
「親からも『あなたは昔からそうだった』と言われます。だから、両親の教育によってそうなったわけではないようです。ただ、両親ともにすごく社交的な人たちでしたから……、もしかしたら遺伝? そうだ、それだ!」
東選手はFC東京からの育成型期限付き移籍での加入なので「さすが、都会の人はコミュニケーション能力が洗練されているなぁ」と思いましたが、「僕は山口県柳井市の出身です」とのこと。「だから北九州市は自分にとっては快適で好きな街です」と続けるのでした。
さてもう一つ気になっていた走力について。フィジカルトレーニングのメニューにインターバル走があり、その実施にあたっては始動後すぐに実施した体力テストのデータに沿ってグループ分けされています。
東選手はデータ数値が高い、つまり持久力があるトップグループに属してほかのグループよりも長い距離を走ります。同じグループには山脇選手や河辺 駿太郎選手がいます。
センターバックでプレーする選手は持久走が苦手な選手が多い印象ですが、東選手は違うのです。その能力はポジジションを争う上での付加価値となり、また守備者としての好パフォーマンス発揮にもつながると言います。
「持久力には昔から自信がありますし、自分の武器の一つだと捉えています。持久力がセンターバックとしてどう生きているか? そうですね、例えば…」
「守備の時間が長くなった時も、最後の最後で身体を張ることができる。あるいは皆が疲れて足が止まったときに仲間のカバーができる。試合序盤と変わらないパフォーマンスを試合終了まで継続できるところで皆との違いを出したいと思っています」

ほかにも守備を固める相手を崩すために攻撃に人数を割きたい時には、果敢なオーバーラップを懸けることも可能ですし、攻撃参加の後の守備対応でもしっかりと足を動かすことができるでしょう。
最後に新天地で好スタートを切った東選手に今季の個人的な目標を聞きました。
「なるべく多くの試合に出て、勝利に導くプレーをする。それでリーグ戦終了後にJ3リーグのベストイレブンに選ばれる。誰もが選ばれて当然と思うようなプレーをしたい。個人として一番成長できたなという実感を持てる1年にしたいと思っています」

[取材・構成:島田 徹]
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