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2024明治安田J3リーグ 第28節
大宮アルディージャ
VS
ギラヴァンツ北九州

2024.9.14SAT19:00

NACK5スタジアム大宮

AWAY

開始前

大宮アルディージャ

大宮アルディージャ

前半

後半

ギラヴァンツ北九州

ギラヴァンツ北九州

 

前節のFC今治戦は今季最多タイの3失点を喫しての敗戦、今季2度目の2連敗となりました。その今治戦を増本浩平監督は次のように振り返っています。

「もちろん2連敗への反省はありますし、いずれも悔しい負け方をしたと思っています。しかし今治も、その前の福島も攻守においてそれまでにないくらいの強度を出してきました」

「そういう本気度も含めて相手の良いところを引き出すくらいに、われわれも個人とチームとして成長している、というとらえ方もできます。もちろん成長しているのはわれわれだけではないことも理解しておく必要があります」

今治の強さと敗戦を認めた上で、自分たちがそれまでに見せてきた戦いぶりに自信を持つべきだ、そして次の試合に向けて前を向くべきだとの指揮官の考えがうかがえるコメントです。

増本監督の考えと同様に多くの選手も前を向いています。例えば山脇樺織選手はこんなふうに気持ちを切り替えていました。

「今治戦は相手をリスペクトし過ぎたように思います。13戦無敗が福島戦で途切れ、久しぶりの敗戦からうまく気持ちを切り替えられないまま今治戦に臨んだ感もあります」

「ただ、ここまでチームとして個人として長い時間を掛けて積み上げてきた自信を2連敗で失うのはもったいない。あくまでもチャレンジャーとして1試合1試合に向かっていく姿勢の重要性を今治戦で改めて感じました」

2連敗を喫してもJ2昇格プレーオフ圏内の5位をキープできています。それは幸運ではなく、それまで勝点をしっかりと積み上げていたからこそ。むしろそのことに自信を持ってシーズンの終盤戦に臨むべきだということでしょう。

2位・今治に完敗したことでうまく気持ちを切り替えられたと感じるのは、多くの選手から『自分たちにベクトルを向けた戦いをする』という言葉を聞いたからです。

そして今節は気持ちを切り替えなければ良い戦いができないと選手に思わせるだけの強敵が相手だからでもあるはずです。

今季も混戦状態にあるJ3リーグにおいて今節の相手となる大宮アルディージャは2位の今治に勝点11ポイント差をつけて首位を独走する、まさに強敵。増本監督も次のような言葉で大宮の強さを表現しています。

「周りのことを気にせず戦える状態。多少の油断があったとしても勝てる状態にあるのが今の大宮だと思います。これまで連敗は一度もないし、大崩れする気配がまったくありません」

データ的にも大宮の強さは証明されています。総得点47はリーグ最多。総失点数16はリーグ最少。無失点試合はリーグ最多の15試合。攻守でリーグのトップレベルにあるチームなのです。

攻撃に関して増本監督は「杉本健勇選手(9得点)、アルトゥール・シルバ選手(7得点)、藤井一志選手(6得点)、オリオラ・サンデー選手、ファビアン・ゴンサレス選手(ともに7月加入で2得点)ら、一発がある選手が揃っている」と、大宮のアタッカー陣の個の質の高さを警戒しています。

そうしたアタッカー陣の「質の高さ」は「決定力の高さ」とも表現できます。大宮の1試合平均シュート数は12.6本でリーグ11位。決定率は13.8%でリーグ1位。シュート数はそれほどでもないのにリーグトップの得点を取るところに選手個人の質の高さが表れます。

また大宮で2得点以上を挙げている選手は11人。ギラヴァンツ北九州が4人ですから、いろいろな形から得点を取ることができる、つまりチームとして効果的なチャンスを多彩に創出できる力が高いこともうかがえます。

そんな大宮の効果的な攻撃はリーグトップのクロスとリーグ3位のスルーパスによって主に構成されると見ることができます。

チーム内のクロス総数を見ると左ウイングバックの泉柊椰選手が107本でトップ、2位は右ウイングバックの下口稚葉選手で77本。泉選手と下口選手はともにチームトップの5アシストを記録しているチャンスメーカーです。

スルーパスでは杉本選手が62本でチーム最多、泉選手47本、オリオラ・サンデー選手が46本で続きます。杉本選手は得点を挙げるだけでなくチャンスメークにも貢献する選手であることが分かります。

局面の打開にはスルーパスに加えてドリブル突破もうまく絡めます。

ドリブル総数では泉選手が断トツで111回。これはリーグ4位の多さです。ギラヴァンツ北九州のトップである山脇選手の61回、14位という数値から見ても泉選手の突出した能力が光ります。

同志社大出身の山脇選手と、びわこ成蹊スポーツ大出身の泉選手は関西大学リーグで何度も対戦した間柄で、仲も良いとのこと。山脇選手は「仲が良いだけに負けたくない」とマッチアップする泉選手との1対1の勝負に燃えていました。

質の高い大宮のアタッカー陣を抑えるには、組織的な守備が必要になりますが、杉山耕二選手は次のように話しています。

「今治戦ではマルクス・ヴィニシウス選手と横山夢樹選手に個の力で得点を奪われました。今治戦だけではなく今季ここまでは質の高い選手を抑えられずに失点をすることが多くなっています」

「組織で守る努力も必要ですが、DFとしては局面で勝てるかどうかが大事。大宮の攻撃陣も個の質が高い選手が揃っているので、何とか個の力で制御したい。やられることを恐れるのではなく積極的な守備をしたい」

チームの持ち味であるハイプレスを軸にした守備で高い位置から大宮の攻撃に制限をかけ、チャンスメークに携わる選手とフィニッシャーのプレー回数を抑制する。そうすることで1対1の局面で勝つ可能性を高める。そんな考え方も必要になりそうです。

大宮の好調を支える要素の一つが堅守です。ギラヴァンツ北九州も堅守を誇りますが、大宮の堅守の特徴を増本監督は次のように答えています。

「大宮の堅守は組織どうこうではなく個が優れているというところでの結果だと思います。リーグ随一とも言えるGK笠原昂史選手をはじめ一筋縄ではいかないDFが揃っています」

笠原選手のセーブ率は82%。ギラヴァンツ北九州の田中悠也選手が毎試合見せる好セーブも印象的ですが、それでも田中選手のセーブ率が74%。増本監督が笠原選手を「リーグ随一」と表現するのも納得できます。

また3バックの一角を担う村上陽介選手(22歳)と市原吏音(19歳)の若いCBの空中戦勝率も高く、相手の攻撃をしっかりと跳ね返します。

またパス総数、敵陣パス総数がチーム最多で攻撃面で大きな働きをするMF小島幹敏選手はデュエル総数、こぼれ球奪取総数、インターセプト総数でチームトップと守備面でも大きな働きを見せる選手です。

最終ラインの手前に位置する小島選手につかまらずにボールを前進させることができるかどうかが、ギラヴァンツ北九州にとって攻撃面での大事な要素になりそうです。

増本監督は個の質の高さを十分に生かす大宮の守備攻略について、次のように話しています。

「個の力が大きい守備と組織の力が大きい守備で言うと、個で守る守備陣の方がどちらかと言えば攻略しやすいと私は考えています」

「われわれはグループとしてどうやって相手の守備ラインをブレークするかというトレーニングに時間を掛けてきました。その成果が大宮戦で出せればと思っています」

ハードワークをベースに連動性の高い攻撃で大宮の堅守打開にチャレンジするところが攻撃面での大きな見どころになります。

大宮が強敵であることは間違いありません。それを承知の上で恐れずぶつかっていこうとしている選手たちの戦いぶりはきっと皆さんの心を大きく揺さぶるはずです。勝利を!

[文:島田 徹]

MATCH DATA マッチデータ

STATS スタッツ

スタッツ スタッツ

THE LAST TIME STARTING LINEUP

GK 1 笠原 昂史
DF 34 村上 陽介
DF 4 市原 吏音
DF 5 浦上 仁騎
MF 22 茂木 力也
MF 30 アルトゥール シルバ
MF 7 小島 幹敏
MF 14 泉 柊椰
FW 23 杉本 健勇
FW 90 オリオラ サンデー
FW 6 石川 俊輝

THE LAST TIME STARTING LINEUP

GK 27 田中 悠也
DF 22 山脇 樺織
DF 50 杉山 耕二
DF 13 工藤 孝太
DF 33 乾 貴哉
MF 6 藤原 健介
MF 14 井澤 春輝
MF 29 高 昇辰
MF 20 矢田 旭
MF 7 平原 隆暉
FW 10 永井 龍

RADAR CHART レーダーチャート

2024.9.10時点でのデータ

レーダーチャート レーダーチャート

PATTERN 得点パターン

得点パターン 得点パターン

RANKING 得点ランキング

得点ランキング 得点ランキング

HOT ZONE ホットゾーン

ホットゾーン ホットゾーン

COMMENT選手コメント

PLAYER

永井 龍Ryo NAGAI

18

Q:(今治)前節の試合を振り返ってみて

A:決めるチャンスがあり、決めていれば展開が変わっていたと思うので、決定機をフォワードとして決めきれなかったことに悔しい気持ちがあります。チームとしては、自分たちのベースである球際・切り替えをできていなかったので、今治相手とか関係なく自分たちのサッカーができていなかったのが問題だと思います。

Q:チームの雰囲気はいかがですか

A:連敗している中でチームの雰囲気が良いということはありません。しかし、個人個人が課題に対して向き合っていると思います。これは、上がっていくために必要なことだと思いますし、練習から意識して取り組めているので、良い時間を過ごせていると思います。

Q:この厳しい状況は、チームが成長できるチャンスだと思います。

A:ほんとにそう思います。2連敗してしまいましたが、負けていることは次に進むためには必要なことだと思います。今回の連敗が連勝していくための近道だと思いますし、チーム全体の意識が変わって進み続けていくためのチャンスだと思います。

Q:今節、大宮アルディージャ戦への意気込みをお願いいたします。

A:チームとして2試合連続得点をあげることができず、日頃から体を張って頑張ってくれているGK・DF陣に申し訳ない気持ちがあるので、誰かがゴールを決めるのではなく、自分が決めるという強い気持ちを持って試合に臨みたいと思います。勝つためのゴールを決めたいと思っているので、チーム全体で戦い、勝利で終えることができるように頑張ります。